2020年7月からTBS系日曜劇場で放送されて驚異的な視聴率を叩き出したドラマ版『半沢直樹』。今回は原作の続編となる『アルルカンと道化師』をレビューします。
『アルルカンと道化師』の背景
まず気になったのがタイトルの『アルルカン』。
アルルカンってなんぞや?
ウィキペディアによると、アルルカンとは元々はイタリア語で『アルレッキーノ (Arlecchino)』といい、仮面をつけて演じる即興喜劇のキャラクターを指し、そのアルレッキーノの仏語表記がアルルカンということのようです。
英語ではハーレクインって言うんだね
あまり洋画は観ないのですが、映画のハーレイ・クインもここから来てるんですかね。
本作はこのアルルカンをモチーフにした絵画を軸に物語が展開していきます。
『アルルカンと道化師』のあらすじ
本作は1作目である『オレたちバブル入行組』より以前の話で、半沢の肩書きも支店の融資課長です。
池井戸潤氏が産経新聞のインタビューで答えている通り、政治家や金融庁を敵にまわしバッタバッタとなぎ倒していた前作までとは異なり、直属の上司である支店長や本部の部長から中小企業を守るという半沢シリーズの原点と言える内容になってます。
サラリーマンとしてはこのくらいのスケール感が一番感情移入しやすいよね。
『アルルカンと道化師』の見どころ
半沢は頭の回転が早く度胸もあり、どんな困難があっても自分の信念を曲げない芯の強さが魅力です。
しかし、半沢の能力で最も優れているのは人心収攬能力、すなわち人の信頼を勝ち取るのが抜群にうまいところです。それは本作でも遺憾なく発揮されています。
では、半沢は一体どんな方法で毎回キーパーソンの心を鷲掴みにしてるのでしょうか。
その方法は至ってシンプルです。時には汗をかき、時には足を使い、真摯に相手に向き合う。ただそれだけです。
本作では家の敷居をまたぐなとまで言われた相手に対して、毎朝神社の境内を掃除していることを突き止めて通い詰めます。その結果、物語の行方を左右する人脈を手に入れるのです。
ある意味昭和のサラリーマン的なこのやり方は、イマドキの20〜30代にはなかなかマネするのは難しいかもしれません。
しかし、いつの時代も人の信頼は地道な努力でしか得られません。
マネできないまでも考え方を頭の片隅に覚えておくだけでも絶対に損はないよ。
こうした半沢の仕事への姿勢に着目して読むのも面白いかもしれません。
『アルルカンと道化師』まとめ
半沢直樹は世間では令和の水戸黄門と呼ばれているそうです。
しかし、水戸黄門は「先の副将軍」という肩書きと「紋所」で相手を平身低頭させるのに対して、半沢は肩書きも何もないにも関わらず、人脈や智謀を駆使して相手をなぎ倒していく。そんなところが世のサラリーマンの心を掴んで離さない要因だと思います。
上司の理不尽な指示や要求にストレスを抱えて日々の仕事をこなしているあなたにこそ、ぜひ読んでほしい一冊です。