こんにちは、書評家のスミスです。
僕は管理部門で働いているのですが、突発的な作業依頼が多く、自分のペースで業務が進められないため毎日のように残業しなければならないことに悩んでいました。
そんな時「タスク管理には手帳が良いらしい」という噂を聞きつけ、手帳を使ってみようと思い立ちます。
しかし、僕にはこれまでも何度か手帳を使ってみたけどうまく活用することができず挫折してきた苦い過去がありました。
手帳って一体どうやって使えばいいんだよ。。
僕と同じような悩みを抱えた人は結構いるんじゃないでしょうか。
そこで今回紹介するのが、伊庭正康さんの『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』です。
本書はこんな人にオススメです。
- これから手帳を使ってみたい人
- 手帳を使ったことがあるけど過去に挫折した人
- 手帳を活用して効率よく仕事をする方法を知りたい人
今回は本書の中から仕事を効率化させてノー残業で帰るために手帳をどう活用すればいいのかをテーマに内容について少し紹介させて頂きます。
最初に決めるべきは「退社時間」
具体的に最初にすべきは、「退社する」と決めた時間にズバッと線を引くことです。18時に仕事を終えると決めたなら、18時に線を引き、「退社」と記します。そして、そこに収まるよう、予定を組んでいきます。
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
最初に退社時間を手帳に書くメリットは、「やらなくていい仕事はないか」「もっと早く仕上げる方法はないか」と作業時間に対する見極めを行えるようになることです。
それまでルーティーンとしてやっていた仕事を今まで通りのやり方でやっていたのでは退社時間には到底間に合わないからです。
実際僕は最初に退社時間を決めるようにしてからは突発的な作業依頼が来たとしても、すぐに回答できないものについては手帳に明日のタスクとしてメモをしておき、今日やるべき業務を優先するようになりました。
その日にやるべき仕事の取捨選択が以前よりもシビアになったよ
決めた退社時間内で仕事が終わらなかったら?
著者は翌朝に回して潔く帰ることを推奨しています。
「それでも、こんな疑問が出てくるかもしれません。
「退社時間を決めても終わらなかったら?」と。
答えは簡単。翌日の早朝に回すことにして潔く切り上げます。朝のほうが生産性が高く、短時間で仕事を終えることができます。」
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
生産性が上がることもさることながら、個人的に実践してみて感じたのは、自分で決めた退社時間にちゃんと帰るクセをつけることが大事だということです。
せっかく退社時間を決めても、ズルズルと残業してしまっては元も子もないからです。
もし、勤めている会社に「残業するのが当たり前」という風潮があり、翌朝に回すことに抵抗がある場合、先にプライベートの約束を入れてしまい、強制力を作ってしまうと心理的に帰りやすくなると著者は語っています。
スケジューリングの基本は「逆算」
退社時間を最初に決めるメリットを紹介しましたが、なかには「退社時間なんて決めなくてもガムシャラに頑張れば仕事は速くできる」と考える人がいるかもしれません。
著者はこうした考えを『足し算型の考え方』と呼んでいます。
一昔前のCMで『24時間戦えますか』というキャッチフレーズがウケたように足し算型の考え方はある意味日本人には馴染みのある考え方です。
しかし、著者は足し算型の考え方には以下のような問題点があると指摘します。
「この考え方の問題点は、一生懸命やったとしても最初から達成が難しい道のり、例えるなら東京から大阪に行きたいのに、名古屋までしか行けないというもともとゴールに達しない設計になっていたとしたら、目も当てられないことになるという点です」
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
個人的にこの部分を読んで学生時代の夏休みの宿題を思い出しました。
夏休みの宿題なんて1日あれば終わるだろうと遊ぶことを優先してしまい、最終日になっていざ宿題に取りかかってみると、まったく終わらなくて泣きながらやったなんて思い出があるのは僕だけではないハズです。(そう信じたい)
宿題を期限内にちゃんとやってくる子に話を聞くと、8月の1週目までに数学の宿題を終わらせるなど締め切りから逆算して計画を立てていました。この考え方は仕事においても重要になってきます。
具体的にやるべき目標を定めたら「いつまでに」「どこまで」到達しておかなければならないかを決めておくことが仕事が速くなる第一歩です。
3週間先まで予定を埋める
僕もそうでしたが、突発的な作業依頼に振り回されている人は先読み力が足りないのかもしれません。
「この作業をやったから次はこの作業を依頼されるな」と事前に予測を立てることができれば、急な依頼が来ても想定の範囲内なので慌てる心配はありません。
そこで実践したいのが、『3週間先まで予定を埋めること』です。
今が忙しいのに、先を考える余裕なんてないのが現状じゃないでしょうか?
これも手帳を使って「3週間単位」で予定を立てることで、自然と先読み力が鍛えられます。
予定を書き込むときに、3週間先の予定が空白にならないよう、次の展開を予想して強制的に予定を入れるようにするのです
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
ただ、3週間先の予定を入れるのをって簡単ではありません。そこで重要になってくるのが次の展開を予想して予定を細分化することです。
たとえば、お客様に商品を納入するとしましょう。本来は、予定に「納入」のことだけ記せばいいのですが、3週間単位でムリヤリにでも埋めていくとなると、こうなります。
・お客様に新商品を納入《今週の水曜》
・お客様の職場での評判を確認《来週の水曜〜金曜》
・確認したお客様の声を上司に報告《再来週の水曜》
このように、次の展開を想像し、予定に記していかなければならなくなります。そうすることで先読み力が自然と高まります。
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
『料理上手は段取り上手』と言われることがありますが、仕事においても同様です。先読み力を高めて段取り上手になれば周囲からの信頼を得ることができます。
一つひとつの仕事に所要時間を割り振る
「今日こそは、早く帰ろうと思ったのに・・・。」と思いながらも、つい残業してしまうことがあるなら、それは、一つひとつのタスクにかける所要時間を決めていなかったことも、一因かもしれません。
忘れないやつにタスクを書き出す人は多いですが、それだけでは不十分です。タスク管理の本質は、「所要時間」をコントロールすることにあるからです。
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
これも先述した『足し算型の考え方』の弊害かもしれません。予定として入ってきたものからとりあえず全力でこなそうとするがあまり、一つひとつに時間をかけ過ぎてしまっている可能性があります。
そんな時はタスクごとに所要時間を書き出すようにします。
まずは時間内に終えるよう意識だけしてみる
タスクごとに所要時間を書き出したら、まずは時間内に終えられるように意識をするところから始めます。
しかし、タスクごとに所要時間を決めても、初めはなかなかうまくいかないかもしれません。ですが、最初のうちは気にしないことです。
ただし、その時間内に終えるように意識だけはしてみてください。その繰り返しのなかで、自分なりのタスクにかける時間の相場感ができてきます。
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
僕もタスクごとに所要時間を決めてみても最初はなかなかうまくいかず、オーバーしてばかりでした。でも、何回か繰り返すごとに「この作業は1時間あれば終わるな」みたいな感覚が備わってきます。そうなると、「次はいかにして時間を短縮しようか」とポジティブなサイクルに突入できます。
一番の収穫は時間を短縮するためにはどうすればいいのかを考える習慣がつくことだね。
やらないことを決める
短時間で成果を出すコツは、「たくさんのことをする」のではなく、「やるべきことを絞る」ことです。つまり、ムダなことはやめる。
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
手帳にタスクの所要時間を書き出す習慣がついてくると「これって本当に必要な業務なのかな」って思うことがでてきます。
特に前任者から引き継いだままロクに精査しないで継続してしまっている業務ほどそう思う傾向は強いです。
しかし、やることに疑問があるとはいっても大抵の場合は、本当にいらない業務か確信が持てないことが多いです。
そんな時、著者はふたつの観点から必要かどうか診断することを勧めています。
①もし、それをやめたらどんな影響が出るのか?(影響がないなら、勇気を持ってやめる)
②もっと効率のいい他の方法はないのか?(いい方法があるなら、勇気を持って変えてみる)
伊庭正康『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』
僕はやらなくてもいいんじゃないかと思う業務を見つけたら、とりあえず手帳にメモすることにしています。
例えば、毎月のルーティーン業務なら来月のところに『要検証』としてメモします。そのうえで、いったん作業を中止して、来月までどの程度影響が出るかを観察していくのです。
ただ、この考えは若い人ほど実践するには勇気が必要だと思います。ある意味先輩たちがやってきたことを否定することになるからです。
と同時に、若い人ほどこの考え方を早めに身につけておくべきとも思います。
日本はいまだ先輩が絶対という考えが根強いです。年齢に関わらず、新入社員が慣例になっている業務に対して意見するだけで白い目で見られ、なかには平気で「余計なことは言わないでとりあえずやれ」と言う人もいます。
でも、不要な業務というのはこういった社会に染まった結果生まれ続けていると思います。
若いうちから当たり前と思ってやっている業務に対して常に疑問を持つ姿勢を身につけることは今後の新入社員のためにも必要不可欠なことです。
読書後記
本書を読む前、僕が忙しいのは突発的に依頼をしてくる人のせいだと思い込んでました。
しかし、本書を読んだあとは『すべては自分のスケジューリングがヘタくそだったから仕事が回っていなかった』のだと痛感させられます。
現に本書の教え通り『逆算型の考え方』にして『デッドラインを最初に設定する』だけで仕事の質が劇的に変わりました。
手帳を使うことにより頭の中が整理され、また、書いてあることを覚えておかなくてもいい分、頭の容量に余裕ができて、結果としてよりクリエイティブな思考に時間を割くことができるようになったのも嬉しい発見でした。
今後は手帳を活用して作り出した時間で、もっとたくさんのすばらしい本に出会っていきたいなと思います。
ご静読ありがとうございました
